3Dオンラインゲームのためのグラフィック機能強化について 2005.8.16初版 なかにしあっか                   追加修正 2005.8.162版 なかにしあっか                   追加修正      (名前をいれてね) 1.グラフィックボード(グラフィック回路)について  ディスプレイに映し出す映像をすばやく計算処理して画像を描き、映像信号と  してディスプレイに出力(送り出す)回路がグラフィック回路です。単体の  ボードになってパソコン内部に搭載されている場合と、グラフィック回路の  LSIチップがメイン基板上に搭載されている場合があります。  高性能なグラフィック回路ほど、細やかな3D映像をすばやく処理して映し出す  ことができます。実際のゲームでは、グラフィック回路の処理能力だけでなく  CPUやメモリの処理能力もゲームの動きを滑らかにするのに必要な要素に  なってきます。  Microsoftが提供している、Windows上で高速なグラフィック機能を提供する  プログラム「DirectX(だいれくと・えっくす)」の併用も重要です。  最新のDirectX9.0cでサポートされている主なグラフィックボード(チップ)  は以下のようなものがあります。   ATI RADEON X800 シリーズ(PCI Expressx16)   ATI RADEON X700 シリーズ   ATI RADEON X600 シリーズ   ATI RADEON X300 シリーズ   ATI RADEON 9800 シリーズ(AGP)   ATI RADEON 9700 シリーズ   ATI RADEON 9600 シリーズ   ATI RADEON 9550 シリーズ   ATI RADEON 9500 シリーズ   NVIDIA GeForce 6800 シリーズ   NVIDIA GeForce 6600 シリーズ   NVIDIA GeForce FX 5950 シリーズ   NVIDIA GeForce FX 5900 シリーズ   NVIDIA GeForce FX 5800 シリーズ   NVIDIA GeForce FX 5700 シリーズ  グラフィックボード(回路)とパソコンの頭脳であるCPUやメモリなど、他の  部品とをつなぐ「データの通り道」には、いくつかの種類があります。   PCIバス    i486・初代Pentium時代から続く拡張ボード接続の汎用スロット。    現在でもほとんどのパソコンに採用されている。    グラフィックボードやGigabit Ethernetなど、高速のデータ転送が    必要な拡張ボードにはバス側の転送速度が追いつかなくなっている    ので、最新機種ではPCI Expressという最新のバス規格に移行し    始めている。拡張ボードの多さでは一番。   AGPソケット    グラフィックボード専用の高速データ転送スロット。AGP3.0(x8・0.8V)    AGP2.0(x4・1.5V・右側に1.5Vキーの切り欠き)    AGP1.0(x1/x2・3.3V・左側に3.3Vキーの切り欠き)の規格がある。    Pentium4+865チップセットまでの主流。   PCI Express x16     シリアル転送に対応した最新のバス規格。信号を運ぶ単位「レーン」     を16本束ねたスロットが、グラフィックボード用に利用される。     Pentium4+i915チップセット以降採用の機種に搭載。   下に行くほど高速のデータのやり取りができ、グラフィックボードの   性能を生かすことができます。PCIよりはAGP、AGPよりはPCI Expressx16   が、高速なグラフィック性能を得られます。 PCI・AGP・PCI Expressは、信号の伝達方法がまったく違うので、互換性   (互いに取り替えて使うことができる性質)がありません。「僕のパソコン    PCIバススロットしか空いてないけど、AGP用のグラフィックボードを    つけたいんだ」という場合は、残念ながらあきらめるしかありません。   お使いのパソコンの機種によっては、内部のスロットにPCIスロット以外の   空きがないことがあります。この場合はPCIバス対応のグラフィックボードを   接続すれば映像は出るのですが、バスの性能のため頭打ちになり、性能   UPはあまり期待できません。(PCIバス用グラフィックボード自体、   高性能のものはあまり市場に出回っていませんし、部品価格も高めに   なります。) 2.お使いのパソコンにグラフィックボードを載せられるか   皆さんが気になるのはこの部分だと思います。   a)パソコンメーカーが発売した家庭用パソコン(デスクトップ)の場合    家庭用パソコンでは、コストの兼ね合いなどから部品価格の高い    グラフィックボードを搭載せず、CPUやメモリの間を仲介するチップ    セットにグラフィック機能を内包したもの(チップセット内蔵    グラフィック)を採用することがあります。    まずお使いのパソコンの説明書(なければパソコンメーカーのweb    サイト)で、パソコンの仕様を確認してください。    「拡張スロット」の欄で「AGP x1(空き1)」「PCI X3(空き2)」    などと表示があります。この場合はAGPスロットに空きがあるので、    AGP対応グラフィックボードが追加可能です。    「AGP x1(空き0)」となっている場合は、すでにAGPスロットが     埋まっていますので追加は不可能です。    パソコン本体が百科事典を一回り大きくした程度のコンパクトな    ボックス(筐体やケースと呼びます)に収まっている「省スペース型    デスクトップ」や「液晶ディスプレイ一体型の本体」の場合は、    本体内部の空きスペースを極限まで削るために、グラフィックボード    や拡張ボードを差し込むスペースを最初から設けていないことが    よくあります。この場合もグラフィックボードの接続は不可能に    なります。    比較的大きな本体を採用した「タワー型」の場合は、拡張ボードを    差し込むスペースが用意されていることが多いので、グラフィック    ボードを交換・追加できる可能性はあがります。    メーカー製パソコンの場合には、出荷時の構成に合わせた電源ユニット    を搭載していることがほとんどですが、メーカーによっては、容量に    ほとんどゆとりのないことも。多くの電流を必要とするグラフィック    ボードを追加すると、それだけでパソコン全体の動作が不安定に    なる恐れもあります。グラフィックボードでも高級機の場合は、    AGPソケットやPCI Expressソケットからの電源供給では足りず、    ボード自体に用意された電源コネクタに電源ユニットからのケーブルを    接続する必要があります。この手のボードの場合、「電源ユニットが    供給できる電源容量にゆとりを持っているか」「電源ユニットからの    ケーブルに空きコネクタがあるか」という条件を満たす必要があり、    さらにハードルが高くなります。    一般的に、メーカー製パソコンの「部品構成を変える作業」−例えば    CPUを換装する、グラフィックボードを替える、など−は「改造」    とみなされ、メーカー保証の対象外になってしまうことがあります。    (ハードディスクの増設やLANボードなどの拡張ボード増設は、たい    ていのメーカーが「改造」とせずに修理などの対応をしてくれる    ようです)PL法の施行以後、「ユーザーが内部を触った結果生じた    事故に対して、メーカーは責任を負う必要がある」ため、メーカー    としても「改造」には神経質にならざるを得ない事情があります。    自信がない向きには、パソコンの修理やサポートを受け付けてくれる    パソコン専門店や、パソコン修理・部品交換に詳しいパソコンサポート    業者を探して、問い合わせてみるのもひとつの方法です。もちろん    「パソコン困りごと相談」掲示板への書き込みも歓迎します。    こうした問い合わせ・質問の書き込みの際には、必ずお使いの    パソコンの「メーカー・本体の型番」を控えておいて、相談する    相手や質問の書き込みに添えてください。    よい例 「NEC製・VALUESTAR L・PC-VL770CD・2005年夏ごろ購入」    悪い例1 「NECのバリュースターです」         (VALUESTARはNECの家庭用デスクトップパソコンの          シリーズ名です。これだけでは機種がわかりません)    悪い例2 「MITSUBISHIのRDS173Xと書いています」         (これは画面「ディスプレイ」の型番です。本体の          型番は、CD-ROMドライブなどがついている方の          ケースの背面にシールなどで記載されています          本体付属の説明書・保証書を確認する手も)         発売後約2〜3年経過した機種の場合    最新のオンラインゲームをハイクオリティで楽しむには、グラフィック    回路の性能だけでなく、CPUやメモリなどの処理性能も非常に重要な    要素になります。古い機種の場合にはグラフィックボードの追加    (交換)だけでなくCPU周りのグレードアップが必要になることが    ほとんどです。メーカー製パソコンの場合はCPUを簡単に変えること    ができないので、現実的には「ゲームが主用途の新しいパソコン」    に買い換える、という選択になってしまいます。    パソコンのさまざまな用途の中で、ゲームは非常に高いスペックの    パソコンを要求します。注文に応じて部品を選択して組み立てる    「ショップブランドのオーダーメイドパソコン」を検討してみては    いかがでしょう。   b)メーカー製ノートパソコン    ノートパソコンはメモリ以外のグレードアップがほとんどできません。    グラフィック機能はメイン基板のLSIに組み込まれていますので、    交換や追加も不可能です。グラフィック機能のグレードアップ=    最新の上位機種との買い替え になってしまいます。最近では    オンラインゲームのサイトが動作確認をしたノートパソコンを    「推奨機種」としてシールを貼って出荷することもありますが、    将来的なグレードアップを考えると非常に不利であり、価格も    高くついてしまいます。「ゲームがメインの使用目的」であれば    ノートよりもデスクトップ、それも拡張性の高い汎用性のある    部品を採用したショップブランド製を検討されることをおすすめ    します。    「どうしてもノートでゲーム」という向きは「重たくて」「値段の    高い」ハイスペック機を選択せざるを得ません。覚悟を決めてください。   c)ショップブランド・自作PC    汎用性の高い部品を採用したショップブランド・自作PCは比較的    グラフィックボードの交換・拡張がやりやすいパソコンです。    「お店やパソコンに詳しい人に組み立ててもらったので、よく     わからない」という人は、お使いのパソコンの「マザーボード」     の説明書(英語のものもあります。ASUS・P4P800E、GIGABYTE     〜などと型番が書かれています)をみて、型番を調べておきましょう。    掲示板での質問の際に、マザーボードの型番が明記されていると    だんぜん回答者の調べやすさが向上します。  3.グラフィックボードの選択    「3Dグラフィックバリバリのゲームを楽しむ」向きには、価格で    言って2〜4万円クラスのものをおすすめします。ATI社のチップを    採用したものであれば、X700クラスをベースにして、予算と    交渉して決めるといいでしょう。「たまにしかゲームはやらない」    ならX300・X600で妥協する...など。    AGP対応のグラフィックボードは品数がだんだん限られてくる    傾向にあります。グラフィック性能のアップ、という目的であれば    radeon9600以上を目安にするといいでしょう。    ATIかnVIDIAか、好みが分かれるところですが、ゲームファンに    人気が高いのはnVIDIA社、TV出力の利用など多目的利用には    ATI社の製品が好まれているようです。 4.VRAM(ビデオメモリ、グラフィックメモリとも)とは?    パソコンのグラフィック回路は、皆さんが普通に見ているテレビ    よりも解像度が高い画面を、テレビの倍以上のコマ数(毎秒60回    以上)で送り出さなくてはなりません。3Dグラフィックスでは、    ゲームのキャラクターを描くだけでなく、キャラクターや背景、    周りの物体(オブジェクト)に影をつけたり、遠近感を出したり    する特別な計算処理が必要になります。この処理を高速に行う    ために、「画像処理用の計算を専門に行うLSI」が必要です。    これが「グラフィックチップ」です。    「グラフィックチップ」には画像処理を高速に行うための    「専用メモリ」が必要になります。これがビデオメモリ・    グラフィックメモリ・VRAMなどと呼ばれているものです。    グラフィックボードとして売られている製品には、ボードの    上に特殊な高速読み込み・書き込みに対応したメモリチップが    搭載されています。一方、グラフィック機能を重視しない    ビジネス用途向けや安価な家庭用パソコンでは、メインメモリの    一部を「間借り」するようにグラフィック機能に割り当てて    使っています。    グラフィックを重視しない用途−ワープロソフト・表計算など    ビジネス用途やweb閲覧・メールのやり取り...では、グラフィ    ックの処理速度もあまり追求されません。VRAMも現在のWindowsXP    環境では16MB〜32MBあれば十分でしょう。    一方、3Dグラフィックを多用したオンラインゲームでは、複雑な    描画処理−画面に映りこんだキャラクターや周りの背景に影を    つけるなど−にたくさんのデータを必要としますし、この処理を    できるだけ早く行えるLSIが必要になります。VRAMも64MBでは    十分でなく、128MB・256MBと大容量のものが求められるように    なっています。    オンラインゲームの動作条件の項目に「VRAM 128MB以上推奨」    などと記載されているので「このVRAMは、メインメモリと    同じように部品を足せば拡張できるのでは?」とお考えに    なった方も多いでしょう。    グラフィックボードに搭載されたVRAMが4MB〜8MBという    「古い時代」には、専用のメモリモジュールをボードの    コネクタにさしてVRAMを増設できる製品がありましたが、    現在はほとんど姿を消しました。VRAMの増設=グラフィック    ボードの交換、になってしまいます。    先ほどふれた「メインメモリの一部をグラフィック用に    割り当てる」タイプの製品では、グラフィック機能に    割り当てるメモリ容量を、設定により広げることで    VRAM容量を増やすことができます。しかし、この手の    グラフィック機能はほとんどが「CPUやメインメモリ    の仲介役」である、メイン基板上の「チップセット」    というLSIにグラフィック機能を付加した「チップセット    内蔵グラフィック(チップセット内蔵VGAということも)」    であることがほとんどで、その処理性能はあまり高く    ありません。したがって、「ゲームをストレスなく    楽しみたい」という現実的な要求には、     ・内蔵グラフィック機能をあきらめ、別途      グラフィックボードを追加できないか      検討する     →追加ができなければ、パソコンそのものを      買い換えることができないか検討する    という対応になってしまいます。    ゲームをストレスなく楽しむには、VRAMの容量が大きい    だけでなく、大容量の描画命令を高速でこなすグラフィ    ックチップの性能が不可欠です。「ボディは大型バン    タイプ、なのにエンジンは50cc」という車はバランス的に    おかしいですよね。これと同じ関係がVRAMとグラフィック    チップに対してもいえるのです。 5.グラフィックドライバについて    グラフィックドライバは、グラフィックチップ(または    ボード)を制御するためのプログラムです。ドライバ    プログラム単体では画像を描くことはできません。現在は    グラフィックチップを製造しているメーカーが、自社の    製品用にドライバプログラムを提供することがほとんど    です。ATI・nVIDIAなどでは自社webサイトで最新の    ドライバプログラムをダウンロードすることができるように    なっています。    ゲームの説明によっては「グラフィックドライバを更新    して欲しい」旨のメッセージが出ることがあります。    「グラフィックドライバを更新すればグラフィック性能を    アップできるのでは...?」とお考えの方もいらっしゃる    でしょう。残念ながら、これは「ほとんどx」です。    比較的新しいグラフィックボードやチップでは、開発から    製品出荷まで間がないこともあり、ドライバプログラムに    不具合があって、DirectXやゲームのプログラムとの間で    誤動作を起こすこともあります。これらの不具合を修正した    「最新版ドライバ」がメーカから配布されることがあります    ので、出荷が始まって間もない最新のグラフィックボードを    使っている方は、メーカーのwebサイトをときどきチェック    しておくといいでしょう。    ただし、「グラフィック性能に不足を感じるようになった」    グラフィックボードやチップは、出荷開始から2〜3年、    もしくはそれ以上経過した製品がほとんどで、報告される    べき不具合も出尽くしているのが現状です。したがって    グラフィックドライバの更新といっても、メーカーから    新しいドライバプログラムが出ていることもなく、あまり    意味がありません。    グラフィック機能はいかに計算を速くこなすか、という    計算回路の性能にかかっています。ドライバプログラム    というソフトウェアで性能を上げられる性質のものでは    ありません。 ###